美容師の労働時間と長時間労働の原因

人気のある職業として有名な「美容師」ですが、美容師の労働環境は厳しく、労働時間が長いことでも有名です。「労働基準法」が遵守されていないこともあり、近年では問題視されています。

本記事では、美容師の労働環境や労働時間について、労働基準法の観点から分かりやすく解説します。美容師として働き方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

「労働基準法」とは?労働者の人権を守るための法律

「労働基準法」とは、労働者の人権を保護するために定められた、すべての企業が遵守すべき規則です。本章では、美容師にとって特に重要な下記3つの観点から、労働基準法の内容を解説します。

  • 休憩時間と休日
  • 労働時間と残業時間
  • 残業代

休憩時間と休日

労働基準法では、労働者の休憩時間と休日について、下記のように規定されています。これを守らない場合は、労働基準法違反となります。

  • 労働時間が6時間を超える場合は45分以上の休憩を与える
  • 労働時間が8時間を超える場合は60分以上の休憩を与える
  • 1週間に1日以上もしくは4週間で4日以上の休日を与える
  • 6か月間で8割以上出勤した場合は10日間の有給休暇を与える

サロンのシフトが1日8時間を超えるのであれば、少なくとも1時間以上の休憩は必要です。また、最低でも4週間あたり4日以上は休めないといけません。

労働時間と残業時間

美容師の間で最も問題視されやすいのが、労働時間と残業時間です。労働基準法では、下記のような規則が定められています。

  • 1日あたりの労働時間は8時間まで
  • 1週間あたりの労働時間は40時間まで
  • 1週間あたりの残業時間は15時間まで
  • 1か月あたりの残業時間は45時間まで
  • 1年あたりの残業時間は360時間まで

つまり、労働基準法の観点から考えると、美容師は1週間あたり15時間以上の残業をする必要はないということです。

ただし、サロンが「特別条項付き36協定」を結んでいる場合は、残業時間の規制に例外が生じます。それは、1年間で6か月間だけ、1か月あたり100時間未満の残業が認められるというものです。ただし、年間で720時間、複数月の平均は80時間までと定められています。

勤めているサロンが特別条項付き36協定を結んでいると、1か月で100時間近い残業は合法となるため、その点には注意が必要です。

残業代

労働基準法で問題になりやすいのは、「残業代」の取り扱いです。労働基準法では、残業代について次のように定められています。

  • 残業代として通常の給料×1.25倍の賃金を支払う必要がある

残業代が生じるのは前述した法定労働時間(1日8時間・1週間40時間)を超える場合や、休日出勤をする場合などです。例えば、時給1,000円の人が2時間残業した場合の残業代は2,500円となります。

ただし、労働契約に「月10時間までの残業を含む」など具体的な時間数が明記されている場合は、基本給に含まれているためその時間分の残業代は支払われません。

美容師の労働時間は他業種と比べても長いのか?

美容師の労働時間は、他の業種と比べても長い傾向があります。美容師の平均的な労働時間は、1日あたり「10時間~12時間」前後のことが多いようです。

サロンの開店時間は午前10時前後と、他業種と比べると比較的ゆっくりしています。閉店時間は午後7時なので、休憩を1時間と考えると労働時間は8時間です。

しかし、顧客が次々に訪れるサロンでは順次対応する必要がありますし、美品の補充や清掃などの作業も増えるため、実際には1時間も休憩を取ることはできません。

また、開店準備や朝礼などで少なくとも始業時刻の1時間前には出社する必要がありますし、閉店後も「カット練習」が行われます。カット練習は数時間に及ぶこともあるため、これらを合計すると実質的な労働時間は10時間~12時間となります。

この数値は、法定労働時間の8時間を数時間以上も上回るため、美容師の労働時間はかなり長めだと言わざるを得ないでしょう。

美容師の労働時間が長くなる理由2選

美容師の平均的な労働時間は1日あたり10時間~12時間ですが、なぜこれほど長くなってしまうのでしょうか。それは、美容師には下記2つのような、付帯業務が生じることが多いからです。それぞれの概要について解説します。

  • 営業時間終了後に行うスタイリングの練習
  • 店内清掃など美容師のメイン業務以外の雑務

営業時間終了後に行うスタイリングの練習

ほとんどのサロンでは、営業時間終了後にスタイリングやカットの練習を行い、これは一般的に「カット練習」と呼ばれます。サロンが指定する課題をこなしたり、自身にとって理想的なスタイルを追求したりするために、美容師は日々カット練習を行っています。

サロンによってはカット練習が数時間に及ぶこともあり、美容師の労働時間が長くなる最も大きな要因だと言えるでしょう。経験が短い美容師の方は、技術向上のためにカット練習が特に長くなる傾向があります。

ちなみに、カット練習で残業代が出ず、トラブルの原因になることも少なくありません。サロン側がカット練習の残業代を支払うべきかどうかは、下記2つの点がポイントになるようです。

  • 業務の一環でカット練習を行っている
  • カット練習がサロンの指揮命令下にある

具体的には、サロンの技術レベルの要求を満たすためのカット練習は、残業代が支払われるべきだということです。一方で、それ以上のレベルを磨くためのカット練習は、サロンの命令ではなく自己研鑽のために行うものなので、残業代は支払われません。

店内清掃など美容師のメイン業務以外の付帯業務

美容師のメイン業務は、顧客のヘアスタイルのスタイリングですが、その他にもさまざまな付帯業務が生じます。例えば、店内清掃や備品の補充などです。

顧客のスタイリングが終わった後は、床を清掃する必要があります。また、使用したシャンプーやトリートメントなどのヘアケア用品を管理したり、使用した器具などのクリーニングや交換なども行わないといけません。

開店前や閉店後も、店内の清掃を丁寧に行います。こうした業務もすべて美容師が行うため、結果的に労働時間がかなり長くなってしまいます。

ちなみに、店内清掃や備品管理などは業務の一環なので、本来は残業代が支払われるべきです。しかし、多くのサロンでは残業代は支払われず、美容師が労働時間に見合う収入を得られない原因になっています。

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【おすすめ記事】シェアサロンとは?美容師が利用するメリットデメリットを紹介

労働基準法において、法定労働時間は1日8時間以内、1週間40時間以内と定められています。しかし、多くのヘアサロンでは、実質的な労働時間が10時間~12時間となっています。その原因は、開店前や開店後の店内清掃や備品管理、閉店後のカット練習などの付帯業務です。

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