美容師は魅力的な職業ではありますが、「離職率」つまり退職する割合が高いことでも有名です。離職率が高い背景には、労働環境の厳しさや賃金の低さなどが挙げられます。
本記事では、美容師の離職率の詳細や、美容師の離職率が高い理由などについて分かりやすく解説します。離職率を下げる方法も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
美容師の離職率
厚生労働省の調査によると、美容師の離職率について、下記のような調査結果が出ています。
- 1年間で50%が離職する
- 3年間で80%が離職する
- 10年間で90%が離職する
上記のように、美容師になってわずか1年間で半数が離職し、3年後になると2割しか残らないことになります。10年間経つと9割が離職し、美容師として活動し続ける人はわずか1割しかいないということです。
他の職種の平均的な離職率は、3年間で30%前後だと言われているため、この数値がいかに高いかが分かるでしょう。1年目の時点で、すでに他業種の平均的な離職率を、大きく上回るのです。
実際に、美容師の間ではさまざまな理由から、「辞めたい」という声が多く聞こえてきます。その背景について、詳しく探っていきましょう。
美容師の離職率が高い理由
美容師の離職率が高い理由として、下記7つのようなものが考えられます。それぞれの詳細について、重要なポイントを見ていきましょう。
- 労働時間が長い
- 身体的につらい
- ストレスが多い
- 給料が低い
- 休みが少ない
- 人間関係が良くない
- 理想とのギャップが大きい
労働時間が長い
美容師の労働時間は、他の業種の平均値と比べても長い傾向があります。労働基準法では、法定労働時間は1日8時間です。しかし、美容師は開店前の準備や閉店後のカット練習などで、実質的な労働時間は1日10時間~12時間を超えることもあります。後述するように給料は低いため、「割に合わない」と感じてしまう人が多いようです。
身体的につらい
美容師は基本的に立ったまま作業します。最近は座って施術するサロンもありますが、立ったままのところが多数派です。一日中立ちっぱなしだと、足がむくんだり痛くなったりしてつらいです。しかも、中腰や下を向く姿勢も多いため、首や腰などの痛みを訴える人も少なくありません。
ストレスが多い
美容師はサービス業・接客業なので、顧客との関わりが非常に多い職業です。頑張って施術をしても、顧客に好まれなかったりクレームを出されたりすることもあり、ストレスを感じることは多いです。自身のテクニックについて悩むこともあり、日常的にストレスを感じやすい業界です。
給料が低い
美容業界は、労働時間が長いにもかかわらず、給料が低い傾向があります。厚生労働省によると、全職種の平均的な給与は月額約29万円ですが、美容師は約25万円となっています。比べてみると4万円~5万円も開きがあるため、業務内容に見合っていないと感じる美容師は少なくありません。
休みが少ない
美容師は休みが少なく、心身をリラックスできる機会をなかなか取れません。他の職種では、1週間あたり2日の休日があることが一般的ですが、美容師は週1回しか休めないことがほとんどです。身体的な負担が大きいにも関わらず休みが少ないので、疲労が蓄積してしまいます。
人間関係が良くない
美容業界はいわば職人的な気質があるため、上下関係が厳しい傾向があります。また、同僚同士の競争も激しいため、あまり心を許せる人間関係を築けないこともあります。上司のパワハラや孤独感から、精神的なつらさを感じて、美容業界を辞めてしまう人は少なくありません。
理想とのギャップが大きい
美容業界は華やかで楽しそうなイメージがあり、美容師を目指す人も増えています。しかし、実際にはこれまでご紹介してきたように、労働環境や人間関係などさまざまな厳しいところがあります。そのため、理想と現実のギャップが大きく、辞めたくなってしまうこともあります。
離職率を低くするには
美容師の離職率を下げるためには、下記3つのポイントを意識することが重要です。
- 給与を引き上げる
- 残業代を支払う
- スタッフを正しく評価する
美容業界の大きな問題点は、給与が労働時間に見合っていないことです。現実的に考えれば、サロンの営業時間を短くしたり、閉店後のカット練習をなくしたりすることは容易ではありません。
従業員の意欲や働きがいを高めるためには、労働時間に見合う給与を支払ったり、閉店後のカット練習に残業代を支払ったりするなど、待遇面を改善することが重要です。
また、スタッフの頑張りに応じて昇給したり、休みを取りやすい環境を整えたりすると、従業員の離職率が低いサロンになるでしょう。
シェアサロンという選択もあります
美容業界は労働環境や人間関係が厳しいため、1年間で半数が退職するなど、離職率が非常に高い業界です。身体的および精神的なつらさや、理想とのギャップの大きさなどが、従業員の離職につながります。離職率を下げるためには、労働に見合う賃金を支払えるようにすることが重要です。
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